はじめての確定申告③
<<前ページ 「はじめての確定申告②: 勘定科目と集計」
<<前ページ 「--同-- 不動産編」
集計
その年の12月31日を迎えると、1年分の決算額を出すことができるようになります。年が明けて1月1日から3月15日までの間で決算書、申告書を作成して税務署へ提出することとなります。
その第1ステップとしてまずは集計を行います。何も難しいことはありません。つけていただいた帳簿を各勘定ごとに毎月整理し、1年間の数字を集計するだけです。合計数字に間違いがないように、必ず検算してください。
当会には集計するときに用いる集計表をおいておりますのでご入用の方はご来局下さい。
決算整理 (減価償却・他)
1年分の各科目の集計を行っていただいた後は決算整理を行います。決算整理とは下記の整理項目をピックアップして、その内容が当期の収入・経費なのかを検討し、当期の経営成績や財政状態を正しくするために修正することです。年末の日付で行います。売掛金、買掛金、未払金など、契約は成立しているが現金・預金などでの受取、支払が年明けのものなどに関して金額を正しくします。
- 棚卸表の作成
- 自家消費の計算
- 減価償却費の計算
- 家事関連費の整理
- 未払経費・前払経費などの整理
- 未収金と前受金の整理
- 貸倒金・貸倒引当金などの整理
- 修繕費(資本的支出との区分)の内容検討
- 事業外収支の内容検討
よく耳にする減価償却も代表的な決算整理事項です。定義は難しいですが、簡単にいうならば10万円以上のもので1年以上の使用期間のある物は全て経費ではなく資産として記帳し、年末に資産の減価分を経費とすることです。ものにより法定耐用年数が細かく決まっており、取得価額をその法定年数等々を乗除してその年の経費(減価償却費)とします。
減価償却の方法平成19年税制改正により、減価償却の方法が変更となりました。これにより、①既存の資産で償却中のもの ②既存の資産で償却限度額に達しているもの(平成20年分申告から適用。特に定率法については複雑になります。) ③平成19年4月1日以降に取得したもの でそれぞれ計算方法が異なっています。ご注意下さい。
決算整理についての詳しい説明はここでは割愛します。当会にてご相談下さい。
決算書の作成
事業、不動産についての売上、経費等(損益計算書)と資産、負債、資本等(貸借対照表)を記入します。簡易簿記を選択する場合はこのうちの、収入、経費についての金額をまとめて頂くことになります。注意点として個人として払っている保険料や医療費などは決算書には反映させません。あくまで事業上での数字のみを合計します。ちょっと難しく書くと売上に対応している支払いが経費となり、経費に対応している収入が売上となります。
よくある間違い:所得税、住民税、自宅の固定資産税、生命保険料、自宅の損害保険料、生活費、取引先で引かれる源泉税等は経費になりません!
申告書の作成
決算書で算出された事業売上、不動産収入に加え、株の売買や土地建物、車などの売却、満期保険金の受取や年金の受取など、他の所得を記入します。
また、扶養家族の人数や、保険料の支払状況などにより所得から引くことのできる数字も申告書で計算します。医療費控除や住宅等を購入されたときに適用できる住宅借入金控除も、申告書で計算します。
まとめると
決算書・・・事業、不動産においての金額を記入
申告書・・・個人としての儲けを記入・税額が決まる
となります。
最後に
自書申告は提出前のチェックが重要!
平成10年分の確定申告より自書申告制度がスタートしました。自分で集計・計算し、申告をするわけですが、極論をいうならば自書申告というのは数字を自分で記入する分にはいくらを書いてもよいのです。そして、どんなでたらめな数字であっても税務署は受け取ります。税務署は受け取った後におかしい物に関しては修正をして下さいといって来るのです。
もちろん、修正申告する場合は延滞税が掛ります。また、税務署からの指摘を受けて修正する場合は加算税もついてきます。例えば3年前の数字が違うので修正ということになった場合、3年間分の延滞税、加算税を加えた金額を納付するようになります。
よく「税務署へ提出したら何もいわずに受け取ってくれたから大丈夫でしょ」といったことを耳にしますが、そうではないことを覚えておいて下さい。
やはり、詳しい方に見てもらいたいということになると思います。その最大の理由として税制は毎年変わることが挙げられます。昨年完璧に作成できたからといってそのままの知識で翌年分を作成すると数字を間違える可能性が高いのです。税理士先生へお願いされる方は問題ないのですが、その他の方はご自身で勉強していく必要があります。そこで第3の選択肢として青色申告会があります。
自分で集計して決算書もできた。国税庁のHPで申告書も作成ができた。ただ、それがホントに正しいですか? と問われるとどうでしょう? 当会はそんな不安を無くすことのできるところなのです。
営利団体ではありませんので月額¥2,000というローコストで様々なサービスを提供しております。もちろん会費は経費計上可能ですのでご一考の価値は十分あると確信しております。